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厚生労働省

2023.11.24MEDISO:インタビュー

認定VCインタビュー JICベンチャー・グロース・インベストメンツ・鈴木 はな絵様 宇留野 義治様 都竹 拓磨様

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 国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の「認定VC(ベンチャーキャピタル)」シリーズ、今回はJICベンチャー・グロース・インベストメンツ(以下、JIC VGI)のプリンシパル ライフサイエンスプロフェッショナルである鈴木はな絵様、宇留野義治様、都竹拓磨様にJIC VGIでの取り組みと日本のライフサイエンスベンチャー業界について語って頂きました。

 社名
 JICベンチャー・グロース・インベストメンツ株式会社
 所在地
 東京都港区虎ノ門1丁目3番1号 東京虎ノ門グローバルスクエア7階
 設立
 2020年
 ファンド実績
 ■JIC ベンチャー・グロース・ファンド1号投資事業有限責任組合
  ・設立年:2020年
  ・ファンド総額:1,200億円
  ・1社あたり投資規模:約 10 億円~ 50 億円、最大 120 億円
 ■JIC ベンチャー・グロース・ファンド2号投資事業有限責任組合
  ・設立年:2022年
  ・ファンド総額:2,000億円
   グロース枠 約 1,700 億円
   アーリー枠 約 300 億円
   (ライフサイエンス 150億円、ディープテック 150億円)
  ・1社あたり投資規模:約 1 億円~ 50 億円、最大 200 億円
 ■JICVGIオポチュニティファンド1号投資事業有限責任組合
  ・設立年:2023年
  ・ファンド総額:400億円

まずは皆様のご略歴を教えてください

(左より都竹氏・宇留野氏、鈴木氏)

(鈴木氏)バイオベンチャーで6年ほど抗がん剤の研究開発に従事した後、2018年にJIC VGIのグループ会社である産業革新機構(現INCJ)に入社し、バイオ、デジタルヘルス、航空宇宙等のテクノロジー分野を中心としたベンチャーへの投資に取り組んで来ました。そして当社が立ち上がったタイミングで参画しています。宇留野は2022年から、都竹は2023年からJIC VGIに入社しており、二人とも以前は製薬会社で医薬品の研究開発などに取り組んでいた経験があります。

JIC VGIはどのような特徴を持ったVCなのでしょうか

鈴木氏)日本政府が主要株主である産業革新投資機構(以下、JIC)を親会社に持つ政府系ファンドであることが特徴のひとつです。国の資金を使っていることもあり、日本への裨益をもたらす企業や技術が投資対象となりますが、日本発の研究シーズを元に海外で興された企業など、日本の国際競争力の強化につながる企業であれば投資範囲となります。現在のところ2号ファンドまで立ち上がっていて、ミドルステージ以降の成長を押し上げるために資金を投じることが主要な目的ですが、重点領域のひとつであるライフサイエンスとディープテックには150億円ずつのアーリー枠も設けています。

(都竹氏)アーリーステージからミドルステージまで一気通貫してサポートできる点は当社の強みです。また、ライフサイエンス以外にも幅広いテーマを取り扱っているので、投資先の企業が何らかの課題に直面した時に、他業界のノウハウや人脈などを活用して解決策を提案できることもあり、我々の独自性の一つと考えています。

宇留野氏)もうひとつ付け加えると、金額規模が大きいことも特徴のひとつです。ただし、それは幅広い産業領域を対象とするファンド全体としての話ではあるので、ライフサイエンスだけが大きいというわけではありません。いずれにしても日本のVCとしては上位の規模に入ります。

近年の日本の医療系ベンチャーはどのような変化が生じているとお考えでしょうか

(都竹氏)業界全体でオープンマインドが高まっていると感じています。少し前までは大学、大手企業、ベンチャーであってもクローズイノベーションが一般的でしたが、最近では組織の垣根を超えてオープンにコミュニケーションを取るようになってきており、医療業界でもオープンイノベーションの土壌が育ってきているように感じます。

(宇留野氏)2022年に政府が発表した「スタートアップ育成5か年計画」の影響もありますが、アカデミアに関わる人々が起業したいという意思を持つようになってきています。付随して大学内で知財に対する意識が高まってきています。かつては特許の取り方が上手くいっていない大学が多かったものの、最近は改善傾向にあります。顕著な成功事例が出てくれば、より一層この機運は盛り上がるでしょう。

(鈴木氏)宇留野が言うように、成功事例が出てくることがエコシステムを回していくためにとても重要です。実際、徐々にそうした事例、特にM&Aの好事例は出てきていて、例えば2021年に創薬ベンチャーのアーサムセラピューティクス社が科研製薬から、2022年にはオリシロジェノミクス社がモデルナにM&Aされています。業界として前向きな状況になっていることは言えると思います。

その反面、日本の医療系ベンチャーが抱える課題にはどのようなものがあるのでしょうか

鈴木業界としての人材流動性の低さは喫緊の課題です。アメリカでは製薬会社出身者がバイオベンチャーで働いていることは珍しくありませんが、日本だとまだまだハードルが高いです。製薬会社で培われた研究開発の知見やネットワークはベンチャーに必要なものなので、もっと当たり前の状況になってもらいたいと考えています。

(都竹氏)製薬会社で働く人からすると、外に出るインセンティブがまだまだ低いですし、ベンチャー入社後のキャリアプランが見えにくい点も壁になっているのでしょう。また、あくまでも個人的な考えですが、大手製薬企業とベンチャーでの仕事の幅も関係しているのではないでしょうか。企業における医薬品開発は分担作業が基本ですが、ベンチャーではひとりで幅広い業務を行わなければなりません。その点がベンチャーに行くことの不安につながっていると思います。この問題をクリアするには、早いうちから全体像が見える経験を積むことも必要になるでしょう。

宇留野人材以外の課題としては、日本企業同士のM&Aが少ないことが挙げられます。アメリカだと類似の研究開発をしているバイオベンチャー同士が手を組んで成長していくことは普通なのですが、日本では活発ではありません。合併することで自分のポジションがなくなったり、研究開発の主導権を握られてしまったりといった不安ばかりに目が行ってしまうことが原因かもしれません。

(鈴木氏)M&Aに関してはベンチャー側にも問題があります。テクノロジードリブンで研究開発を進めてみたものの、実はニーズがなかったという例も少なくないのです。当然ではありますが、「これだったら買ってくれる」というものを作らないといけませんので、私たちも製薬会社側のニーズを調査していますし、それを投資先にも共有して支援しています。

宇留野日本のバイオベンチャーが技術で海外に劣っているとは思いませんが、ビジネスとしての展開を描けていない側面は否めないですね。資料ひとつ取ってみても、製薬会社が興味を惹くような見せ方ができていなかったり、競合他社との比較をしていなかったりという事例は少なくないので、こうした点は改善の余地があります。

日本のバイオ・ヘルスケアベンチャー業界活性化のために施策を提案するとしたらどのようなものが考えられますか

(都竹業界全体でインセンティブを得られるようにして、市場としての魅力を高めていくべきだと思います。例えば、ベンチャーと共同開発をした際の特許は保護期間を延ばしたりするといったことも考えられます。現在の日本は市場の観点でもインセンティブが低く、海外ベンチャーは最初から日本を市場として考えていないケースも少なくなくないです。どうにか改善していかなければなりません。

(鈴木業界の魅力を高めるためには、海外の機関投資家やVCを呼び込めるようにする手もあります。それによって海外の知見やネットワークが日本企業に入っていくことで、日本のバイオベンチャーが海外に出るきっかけを得たり、海外の製薬会社にM&Aされたりすることで、市場の活性化が期待できるでしょう。また人材に関しては、バイオベンチャーに優秀な人材を引き込める策はないか、他の認定VCともディスカッションをしています。もちろんVC側が製薬会社から人材を引き抜くような格好になってしまってはいけないので、製薬会社にもメリットが生じるような形で課題の解決に繋げていきたいです。そのためにも、厚生労働省の協力も得たいですね。

(取材者:三菱総合研究所 森卓也・太宰結)

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