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厚生労働省

2019.12.24MEDISO:インタビュー

MEDISOサポーターインタビュー 冠 和宏 様

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こんにちは、MEDISO事務局です。今回は、普段面談を実施していただいている非常勤サポーターにお話しを伺いました。本日は、株式会社インタープロフェッショナル代表取締役の冠 和宏様です。



冠さんはどのようなキャリアをお持ちでしょうか

1997年に昭和大学大学院の薬学研究科の薬品製造科学(有機合成)を修了し、同年に第一三共株式会社に入社しました。当時から今まで医薬品の開発の仕事を20年以上続けています。最初は、モニターという、医療機関からあがってくる臨床データと、医療情報との整合性をレビューしたり、安全性で問題があがった場合に必要な情報の収集・提供をする仕事をしていました。モニターの仕事だけをしていた期間は2年でしたが、その時に医薬開発の虜になりました。その後は治験実施計画書(プロトコール)を作る仕事や、プロジェクトマネジメントや、プロジェクトリーダーを経験しました。第一三共には10年所属しました。最後の2年で、日本医師会治験促進センターへ臨床グループリーダーとして出向する機会を得ました。ここで、医師主導治験の治験オペレーションの基本となるSOP、手順書等の組織構築の研究をしていました。今の医師主導治験のモデル手順はそれが基本となっています。普段企業が実施する治験のコストを低コストで実施し、かつ承認申請後の日本の薬事行政による調査に耐えられるクオリティを保つことが可能となるモデルを検討しました。非常にエキサイティングな仕事でした。上司から出向を言い渡された時は、もしかして左遷?と思いましたが、日本に医師主導治験を推進するためのとても大事な国家プロジェクトだからしっかりやってきてほしいと当時の上司や部長からハッパをかけられました。 その後、日本だけでなく海外の医薬開発も学びたいと思い、ファイザー株式会社に転職しました。クリニカルリサーチ部門(日本語で言うと医薬品開発企画部に該当)に入り、循環器の代謝疾患領域の医薬開発に関わり、そこで臨床リーダー、PJリーダー、疾患領域部長を経験し、2016年から海外で働きたいと考え、マサチューセッツ州にあるファイザーの循環器領域の早期開発の拠点で働く機会を得ました。2017年には日本に戻り、希少疾患領域の領域部長の仕事に就きました。循環器領域とは違い、臨床データが少ないところから物事を進める必要があり、180度考え方が変わりました。ファイザーでは、2010年から北里大学の大学院の医薬開発学で博士号をとる機会があり、平行して、ファイザーのインターナルなコースですが、MBAクィック版のようなコースも受講していて、会社経営やビジネスのことにも興味を持ちました。




ベンチャービジネスとの関わりはどのようなものでしょうか。
冠さん>
今年は、DIA JapanのVice Program Committee Chairも務めてられました

2018年2月に自分で会社をしようと思い、同年3月にファイザーをやめました。FDAが承認した薬品の半数以上がバイオベンチャーやアカデミアオリジナルのシーズだったりすることがわかり、日本にそれらの薬が入らなくなるのはマイナスになると考えたからです。その海外のバイオテックが日本に進出することサポートしたいと考え、会社を興し、2018年2月28日世界希少疾患の日に事業開始しました。 一人で事業を行い、小さなバイオテックや製薬企業を支援していていました。ライン管理職、部長レベル、PJマネジャーのコーチング、トレーニングも同時にしていました。また、2019年7月 アセントデブロップメントサービスの取締役にも就任いたしました。これでアセント社が強みとするアジアエリアでの開発戦略の仕事で多岐にわたる経験が詰めることが楽しみで仕方がありません。他にもIT系企業の相談役をやったりしています。患者会の方との接点を持ち始めることができたのも大きいです。1つの会社に所属すると、ある意味限られた事しかできないこともありますが、ビジネスを起こすことで自分のやりたいことが複数できるという事実を知った時は、まさに目からうろこでした。更に広い視野を持ちながら自分のメインビジネスである医薬開発における技術的な面だけでなく、製薬企業時代よりも更にいろいろな人達とのコラボレーションの経験を通じ、人とチーム、それから組織を調整したり、チームや組織を構築するスキルやアイデア、問題を整理したり問題の根幹を解決するためのスキルがあがり、今の仕事にいきていると思います。



ご自身の得意とする支援はなんでしょうか

製薬の開発には、シーズがあり、薬品の開発、実用化でどのようなポイントを考えないといけないか、全体マップの描きかたをレクチャーすることができます。上っ面ではなく、非臨床、臨床のデータで必要なものの設計図のようなものを作成する仕事をファイザーでしていたので、ハンズオンで伴走するスタイルのコーチングやコンサルティングができます。 製薬において、伴走スタイルでコンサルできる人はいても、その多くは製薬企業やCROに所属しているためなかなか見つけるのが大変だと思います。加えて当局への相談のサポート、資料作成、海外進出のための支援もできます。臨床の開発プログラムを考えるのは自分自身の背骨でもあります。どのような疾患に対して、どのように開発するかのガイダンスの提供、開発コスト、開発期間の算出もできます。ベンチャー企業は、予算も無かったりするので、その前提でのプラン等も考えることもでき、不足分の資金調達についても紹介できることもあります。VCに資金提供を受けられることが一番いいとは思いますが、資金提供を受けるための何を評価してもらえるかを一緒に考えることもできます。



実際にMEDISOサポーターとして活動してみて、いかがでしょう

とてもエキサイティングと考えています。自分の知らないモダリティ、アイディアが出るのですごいワクワクします。自身が現役で医薬開発に関わっているので、自分だとどのようにするのか、といった視点でアドバイスができます。相談者目線で一緒に考えられるのは非常に楽しく自分自身も非常に多くのことを学ばせていただいています。



最後に、医療系ベンチャーの方へのメッセージをお願いします

<複数のメンターを持ち活用してください>
自分自身も業界外も含む多くのメンターを持っています。伴走者は非常に大事だと考えています。MEDISOも是非メンターを見つけるために活用してほしいと考えています。
メンターは、自然の成り行きではなく、成長を加速させるように後押しするのが役割と考えています。ベンチャー企業は「問題に直面したから相談」が現状だと思います。その原因を早く特定しつつ、事業を進めてほしいと考えています。メンターを「早い段階でどう困難を切り抜けるかのアイデア」を模索するために欲しいと思います。最初の方で相談に来ていただき、最短コースを走れるように活用していただくという方法もありだと思っています。自身が得意な事であっても全体像が見えて進むのと、得意な事以外はわからない状況で進めることでは、かける時間の効率が違うと思います。得意な分野、テクノロジーで勝負するのもいいですが、薬の開発は非常に多岐にわたります。ロードマップのようなものも作りますが、実際は綺麗に進むなんてことはなく、非常に泥臭い仕事です。困難に直面する前に是非相談してください。
<海外での視点を持ってください>
事業は、日本の中だけで考えてほしくないと思っています。例えば、最近ですと資金確保は中国の方が日本よりはるかに早いです。勝つために日本だけしか調べていないのは片手落ちと感じています。勝つためには、インフォマティックスを整備した方がいいと考えています。人脈、お金の取りやすさ、グラントをとるための技術文書の書き方等、自分が考えている範囲だけではなかなか実現しないと思います。 加えて薬事行政を考えた時、日本から始めるのは難しい場面もあります。日本の規制の中でどのようにFITさせるかどうかという側面で規制当局のアドバイスをもらい場合はそれでよいのですが、場合によっては少し遠回りする可能性もあります。患者さんは世界中にいますから、本当に自分達のテクノロジーやシーズ、アイデアが日本の市場だけでいいかを是非考えてほしいと思います。


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