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厚生労働省

NEWSMEDISOインタビュー記事 DeepEyeVision株式会社様

2022.07.26

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MEDISO 相談企業であるDeepEyeVision株式会社様が、光学技術のパイオニアであり国内外で眼底カメラの大きなシェアをもつ株式会社ニコン様と、眼科医療における質の向上、医療現場で用いるAIのさらなる市場創出実現に向け、ディープラーニングを用いた眼底カメラ用プログラム「DeepEyeVision for RetinaStation」を共同で開発し、DeepEyeVision株式会社様が医療機器認証を取得されました(注1)。

そこで今回は、DeepEyeVision株式会社CEO兼 自治医科大学准教授 髙橋様、CTO 近藤様、PM/PMO吉崎様、株式会社ニコン ヘルスケア事業部マーケティング統括部マーケティング部長 富岡様、同部第二商品企画課長 上野様、同課 白木様に、開発された製品、共同開発に至った経緯、共同開発により目指されている将来像について、お話を伺いしました。

提携の詳細はこちらをご覧ください。
DeepEyeVision株式会社様 ニュースリリースはこちら
株式会社ニコン様ニュースリリースはこちら


「RetinaStation」および「DeepEyeVision for RetinaStation」がどのような医療機器なのか教えてください。

ニコン富岡様
「RetinaStation」(注2)は、目の網膜を撮影する眼底カメラと呼ばれる医療機器で、眼底カメラは眼科には基本的に導入されている非常に重要な機器です。ニコンはOptos社という英国スコットランドの眼底カメラを開発する企業を2015年に買収し、眼底カメラの開発を進めてきました。2019年には、医療の現場で幅広く活躍できるエントリーモデルとして「RetinaStation」を製品化。そして今回、DeepEyeVision様と「DeepEyeVision for RetinaStation」を共同開発しました。

ニコン01
         RetinaStation

DeepEyeVision髙橋様
「DeepEyeVision for RetinaStation」(注1)は、眼底画像を解析するプログラム医療機器です。近年の急速な高齢化に伴い、緑内障や糖尿病網膜症に代表される眼科の疾患が増加しています。疾患を早期発見し適切な治療を行うために、診断しやすい画像情報を眼科医に提供できる医療機器プログラムの製品化が求められていました。このような社会的ニーズに答えるために、ニコン様とディープラーニングの技術を持つDeepEyeVisionが共同して「DeepEyeVision for RetinaStation」を製品化しました。
我々は「DeepEyeVision for RetinaStation」に搭載したAIを、「逸脱可視化AI」と呼んでいますが 、これは「RetinaStation」で撮影された眼底画像に対して、健常眼との乖離度が高いところ、つまり医師が重点的に審査すべき関心領域をヒートマップで示すもので、この機能によって、眼科医による迅速な診断を支援し、医療の質の向上に貢献することが期待されます。

    「DeepEyeVision for RetinaStation」の画面イメージ

ニコン様はどのような観点からDeepEyeVision様を共同開発パートナーとして選ばれたのでしょうか。

ニコン富岡様
DeepEyeVision様を共同開発パートナーとして選んだ理由は2つあります。
1つ目は我々とDeepEyeVision様の目指す方向性が一致したからです。ニコンには、主に5つの事業(映像事業、精機事業、ヘルスケア事業、コンポーネント事業、産業機器事業)があります。ヘルスケア事業を戦略的な事業の1つとして位置づけており、より多くの人の健康と幸せの実現 、QOLの向上を ミッションとしています。一方で、DeepEyeVision様も「AIで目からはじまる健康を支援する」というミッションを掲げられており、我々と同じ方向を目指していらっしゃいました。
2つ目として、我々は医療機器を開発するために、現場のニーズを把握している医師の協力を求めていたからです。
我々は医療従事者ではなく開発者であるため、現場のニーズに応えるためには、医療現場をよく知る必要があると考えています。DeepEyeVision様の創業者である髙橋先生はトップクラスの眼科専門の医師であり、眼科の現場を熟知されながらAIを開発されています。そのため、医療機器を開発するパートナーとして、我々にとって最適であるDeepEyeVision様に共同開発をお願いしました。

ニコン様とDeepEyeVision様が出会われたきっかけを教えてください。

ニコン富岡様
栃木県と自治医科大学が開催した、病院のニーズを紹介し企業とマッチングさせるイベントにおいて、当時DeepEyeVision様を起業されて間もない髙橋先生のご発表を拝見したことがきっかけとなりました。その後、医療現場を見学させてもらったり、診察や手術の方法を教えてもらったりと眼科の現場を勉強させていただきました。我々も眼底カメラの展開を検討していたタイミングでしたので、日本発の新しいソリューションを作りましょうとDeepEyeVision様に協力をお願いしました。

ニコン様の様な大手精密機器メーカーとの共同研究・協業を目指す医療系ベンチャー企業に対して、ニコン様とDeepEyeVision様のそれぞれのお立場から、共同研究・協業に関するアドバイスを教えてください。

DeepEyeVision吉崎様
マーケティングの観点から言いますと、医療機器分野に限った話ではないと思いますが、どれほど優れた技術を持つベンチャー企業であっても、「良い技術を持っているから共同研究・協業をしませんか」と声をかける、片思いのようなアプローチは良くありません。双方がウィンウィンとなる具体的なイメージをパートナー企業と共有することが大切です。
イメージを共有するためには、双方で互いの内部環境と外部環境を把握し、共同研究・協業をしたらどのような勝ち筋が見えるかという分析をすることが良いと思います。実際、ニコン様と我々も、互いの担当者がホワイトボードを前にしてSWOT分析を行い、双方の弱みと強みを確認し、協力によって何を補うことができるのかをディスカッションしながら、協業戦略に落とし込んでいきました。

DeepEyeVision髙橋様
お互いの信頼関係が重要だと考えています。ニコン様からお声がけをいただいた当初は、私が普段接する医療関係者とはドメインが全く異なるニコン様とお話をすること自体が非常に楽しかったことを覚えています。特に医療現場を見る医療機器開発者としての視点が非常に興味深かった思い出があります。ニコン様からいただいたご相談に誠心誠意応えることで、お互いに信頼関係を築くことができたと思います。

DeepEyeVision近藤様
大企業とベンチャー企業では、例えば大企業はハードウェアの開発や販売を強みとし、ベンチャー企業はフルスクラッチの開発を強みとするなど、強みとするドメインが全く異なります。ニコン様との共同開発 で素晴らしかった ことは、互いの強みとするドメインに対し敬意を持ち、相手を尊重して頑張ろうという空気感が醸成されたことです。髙橋が申し上げたように、お互いの知らない部分や弱みを共有し、補おうという意志を持てたことが、共同開発が上手くいった理由の1つと考えています。

ニコン富岡様
お互いに尊重することが大切というご意見は私も同感です。我々が連携・協力している企業の中でもDeepEyeVision様のメンバーは、能力はもちろんですが、人柄も大変素晴らしいと感じております。
また、「DeepEyeVision for RetinaStation」が医療機器認証を受けてスタートを切ったこの事業を、成功に導くということが、パートナー関係を継続する大きな原動力になると考えています。多くの医師に本医療機器を使っていただくことで、医療の質が向上し、患者様も含めてステークホルダーのすべての方々がウィンウィンとなれるように尽力するつもりです。

眼科学会の総会(注3)で、「DeepEyeVision for RetinaStation」の展示をされました。反響はいかがでしたでしょうか?

ニコン上野様
眼科の医師からは、製品を導入した際に自らのクリニック内のワークフローはどのように変わるのかという、具体的な質問を多くいただいたことが印象的でした。ディーラーの方からも、新規製品としてとても好意的な意見をいただきました。本医療機器を市場導入する際には、医師、医療従事者、販売員の方に丁寧に説明、紹介する必要があると改めて感じました。

DeepEyeVision近藤様
医師や医療従事者からは、「眼科領域においてもAIを用いた取り組みがあることは知っていたが、実際に製品が医療機器認証され、ブース展示される段階にあるという状況に驚いた」というコメントをもらいました。驚きと感嘆の声が多かったことが印象に残っています。
また、各地の眼科医から「すごい。すぐに使ってみたい」という嬉しいコメントをいただいています。

MEDISOは「日本の素晴らしい技術、シーズの国際競争力を高める」というミッションを持っています。今回の提携は、日本の技術、シーズがニコン様のチャネルを通じて世界に羽ばたいていくお手本になると感じております。今後の展望について教えてください。

ニコン白木様
世界中でAIを用いた医療機器が開発されており、眼科領域においても海外では複数の製品が販売され始めています。「DeepEyeVision for RetinaStation」を、まずは日本国内で成功させ、次に、海外に進出させるつもりです。特に眼科疾患の患者数も多い中国、インドを含むアジア地域への進出を想定しています。「DeepEyeVision for RetinaStation」が眼科医の診療を補助し、その結果として早期に治療が始められることで、世界中の人々のQOLに貢献したいと考えています。
海外で販売するには、追加の臨床データが必要となる等の医療機器申請のハードルがありますが、DeepEyeVision様と協力して進めていくつもりです。今後も眼底カメラをはじめとした眼科製品における世界中の販売チャネルを使って展開していきます。

DeepEyeVision髙橋様
同じ眼科医であっても地域、国ごとに診断、治療の方法は微妙に異なります。医師が効率よく患者様を診断、治療し、患者様のQOL及びその地域、国の経済発展を支援することは、医療ドメインの重要な使命だと思います。そのためには、DeepEyeVisionができる協力は何でもするつもりです。

MEDISOに対しては、どのような印象をもたれていますでしょうか。

DeepEyeVision髙橋様
MEDISOに相談する前は、よりよい診断・治療を世界に提示することを目標に、患者様を救いたいという志は誰よりも持っていると自負していましたが、自分たちの技術を患者様に提供するための、具体的な道のりが分からない状況でした。MEDISOに、ニコン様と一緒に何回か相談していく中で、上市するまでのステップを1つ1つ教えていただき、視界がとてもクリアになり、やるべきことが見えてきました。ニコン様と一緒にMEDISOへ相談をしたのが、大きな転機になりました。これからも継続的に支援をお願いしたいと思っています。
最近、起業を目指す方、起業を考えている方からよく相談を受けており、先ずはMEDISOに相談すべきとアドバイスしています。

ニコン富岡様
アメリカを代表とする諸外国に比べて日本では医療ベンチャーが育っていないと言われてきましたが、最近では、日本でもベンチャー企業向けの支援体制が徐々に整備され、投資も活発化してきている状況です。そのような中、起業前に加え、起業直後でも支援を受けられるMEDISOのような仕組みを設けていることは大変素晴らしいと思います。このような官民一体となった取り組みによって、今後、日本においても、医療ベンチャーが増えていくのではないかと期待しています。

最後に、これからDeepEyeVision様の後に続くベンチャー企業へエールをお願いいたします。

DeepEyeVision髙橋様
臨床で患者様を診ていると、既存の診断や治療の技術に不満を感じ、こうしたら良いのではないかと思うことがあります。そのような思いが、研究のきっかけとなり、技術が生まれ、最終的に価値ある製品となれば、多くの患者様に提供することができます。起業をして、製品を開発し、世の中に出すことで、DeepEyeVision自体も変化しましたし、皆様がDeepEyeVisionを見る目も変わりました。まずは一歩前に出て挑戦する勇気を持つことが大切だと思います。皆さん一緒に頑張って行きましょう。

DeepEyeVision 近藤様
「ソフトウエアエンジニアが医療ベンチャー業界に来てくれない」という悩みを業界として持っています。医療は総合格闘技のようで面白い分野にもかかわらず、彼らが来てくれない原因は、リーチができていないからではないかと感じており、広報としての役割も持つMEDISOの取り組みはとても頼もしく思っています。
世の中でTier1と言われるようなソフトウエアエンジニアが、医療系ベンチャーに来て、汗水流して、人の命を救うということも素晴らしいことだと思います。MEDISOを通じた広報の取り組みにより、優秀なソフトウエアエンジニアの方々が医療ベンチャー業界に来てくれるようになれば、世界の未来はより明るくなると期待しています。

DeepEyeVision吉崎様
確かにAIはマーケティングや広告への活用が多いですが、薬機法を踏まえながら、昔からある医療技術とAIを組み合わせた時にどのような価値を見出せるか、その価値をどのようにビジネス展開できるのかを考えることは非常に面白いと感じています。
また、人材という観点から言えば、異分野の経験を医療業界で活かせることは意外と多くあると思っています。例えばISO9000シリーズの知見を持つ方は、医療におけるQMS体制の構築、ISO13485への対応に活かすことができます。多様な人材が、医療系ベンチャーに来ていただけることで、その方にも新しい発見があるでしょうし、医療業界全体の発展に繋がっていくと期待しています。

ニコン富岡様
デジタル時代の到来により、世の中の流れが非常に速くなり、商品やサービスのサイクルも同様に加速しています。我々も時代の流れに対応していくために、自前の単独開発だけでなく、様々なパートナー企業様とコラボレーションをしながら、互いにウィンウィンな関係を築かなければならない時代になっていると考えています。
一方で、ヘルスケア事業部はニコンの中では決して大きな事業部ではなく、我々自身もベンチャー企業のスピリットをもつように心がけています。是非いろいろなベンチャー企業様と組んで新しい事業に挑みたいと思っていますので、機会があればご協力させていただきたいと考えています。

三菱総合研究所 八巻
日本の医療系ベンチャーが活性化するためには、こういうふうにしたら成功できるというロールモデルが出てくることがとても大切なことだと思っています。DeepEyeVision様が大企業のニコン様と協力して、短期間で医療機器認証を取得し、国内外に展開されていくことは、素晴らしいロールモデルになると期待しています。本日はどうもありがとうございました。

(注1) 医療機器認証番号:303ADBZX00110000(販売名:「眼底カメラ・眼撮影装置用プログラム DeepEyeVision for RetinaStation」 製造販売業者:DeepEyeVision株式会社)
(注2) 医療機器認証番号:301ABBZX00030000(販売名:「スマートイメージャ RetinaStation」 製造販売業者:株式会社ニコンソリューションズ)
(注3) 第126回日本眼科学会総会 2022年4月14日~17日

上段左から、DeepEyeVision株式会社 髙橋様、近藤様、吉崎様
中段左から、株式会社ニコン 富岡様、白木様、上野様
下段左から、株式会社三菱総合研究所 川上、八巻、MEDISOサポーター橘
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