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厚生労働省

2021.06.14MEDISO:インタビュー

MEDISOインタビュー記事 株式会社Splink様

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MEDISO相談企業である株式会社Splink様が開発した脳画像解析プログラムBraineer(ブレイニア)が6月4日に医療機器プログラムとしての薬事認可を受けました。

そこで今回は、株式会社Splink代表取締役 青山様と薬事戦略、知財戦略を担うSVP(シニア・ヴァイス・プレジデント)成尾様、広報を担当されている飯島様に開発の経緯や、認可を取得する際の苦労等のお話を伺いしました。

開発機器の詳細はこちらをご覧ください。
株式会社Splink様ホームページ :https://www.splinkns.com/


最初に、どのような会社か教えてください。

青山:Splinkは、中枢神経領域における医療AIを提供するテクノロジー・スタートアップです。「ブレインヘルスケアを世界の当たり前に」というミッションのもと、注力領域である認知症における医療機器プログラムの開発、提供を進めています。

認知症は複雑な疾患であり、その診断は難しく、医師の経験や主観が大きく影響します。その為、早期発見や疾患鑑別では必ずしも全ての人が同じ医療機会に恵まれるとは限らず、見落としも起こりうる病気です。当社は、この認知症という高齢化社会における大きな課題に対し、健常段階の予防から発症後の病気と共生できる社会に寄与すべく、認知症の予防から診断まで一貫したソリューションを提供する企業です。



私が、この領域をドメインとした医療機器プログラムの開発をすると決めた理由は、前職で中南米に駐在している際に、父が重度の脳疾患と診断されたことを母から聞いたことがきっかけでした。父は、かなり前から症状を訴えていたのですが、いくつもの病院で見過ごされたまま、十数年の間、病気に苦しんでいたそうです。

病気は当たり前のように発見され、当たり前のように治るものだと思い込んでいた私は、そうではない領域があることを知り、何とかしなければと思い、それまで勤めていた会社を辞める決断をし、アメリカに渡り医療ビジネスへの見聞を深めながら、2017年にSplinkを創業しました。



脳科学分野での取り組み、そして今回、薬事認可を取得された医療機器プログラム製品について教えてください。

青山: 医師の知識・経験によるブレが生じ認知症が見逃されることを防ぐためには、脳の客観バイオマーカーを定量化し、再現性をもたせることがその大前提にあると考えています。今回、薬事認可を得られた、『脳画像解析プログラムBraineer(ブレイニア)』は、脳形態に着目し、頭部MRIデータより脳の萎縮を定量・数値化することで診断に役立つ情報を提供し、診断を支援する医療機器プログラムです。


Splinkは創業当初からAIを用いた脳ドック用プログラムを様々な医療機関やクリニックでご利用いただいております。この予防フェーズにおける先行サービスで得られた知見を活用し『脳画像解析プログラムBraineer』を、診断・治療フェーズにおける認知症診断の精度向上を目指し開発しました。Braineerは、Splinkが認知症の予防から診断まで一貫したソリューションをワンストップで提供するための戦略的位置付けとなる製品です。



医療機器の薬事申請は成尾様がご担当されたとお聞きしています。ご苦労された点、工夫された点を教えてください。

成尾:変化の激しいスタートアップにおいて、推進力のある医療機器開発チームを組成することが一番の苦労したポイントでした。

プロジェクト開始当時、社内に医療機器プログラムの製造販売認可のプロセスに携わったことがある者はおらず、当初は私が薬事戦略、知財戦略を兼任していました。そこから青山と私で、プロジェクトマネージメントやQMS体制構築を何度も仮説検証しながら、医療機器チームビルドをおこないました。

プロジェクト体制が構築されてからも、研究開発、プロダクト、ビジネス、薬事と全ての事情や意見をすり合わせ、一つの判断にもっていくまでには、弊社内のみならず、有識者を交えた多くの検討、議論がありました。この間には、何度もMEDISOにお世話になりました。とき にはチームの一員のように、ときにはチームの潤滑油のような、アドバイスを頂き、MEDISOのおかげで良い判断ができたと思っています。



Splink様は一般的なスタートアップ様と比較するとチームビルドが進んでいて多くの優秀なメンバーがいらっしゃるとお聞きしています。チームビルドは多くのスタートアップ様が苦労されているポイントです。どうやって優秀なメンバーをリクルートされたのか、秘訣があったら教えてください。

青山:良い市場で、良い人間が集まって事業をすれば成功する、そのどちらかがズレてくるとうまく行かない、という経験をしてきました。採用については、同じ志で一緒の船に乗れるかを納得するまで話し合うことを大事にしています。候補者と真摯に向き合い、会社の進む方向、その人の人生の進む方向がアラインしているのかをお互い対等の立場で意見をぶつけあうプロセスを惜しまないです。

少し青臭い表現ですが、高い志を持ち、同じ夢を見られるかが一番大切なポイントだと思っています。結果として、良い人がメンバーになり、そのメンバーに新しい人が惹かれてチームビルドができているように思います。はっきり言って、弊社に転職いただいて給与が半分以下になった方もいます。経営者としてメンバーに感謝の気持ちで一杯です。



MEDISOに対して、どのような印象をもたれていますか。

成尾:何度も相談させて頂きましたし、人材交流事業の対象企業としても選定され、メンタリングもして頂きました。我々にとって、MEDISOはいつも企業とともにあり、社内にいらっしゃるかの錯覚を起こすほど近くにいてくださる印象です。

医療機器の開発~認可の申請~審査~販売に至るまで、全てのプロセスにおいて困ったときにはMEDISOサポーターの方のお顔が思い浮かびました。判断に悩む事があると事業の早い段階からMEDISOに相談することで、Go/No Goを社内で素早く判断することができたと思います。また、一般的なアドバイスではなく、弊社のメンバー、体制、ステージ等も加味したうえで、とても具体的なアドバイスを頂けることが大変ありがたかったです。書籍やセミナーから得られる情報 は限られており、また、抽象的なものも少なくないです。そのような中で、実際にどう手を動かせばよいのかまで相談に乗ってくださいます。認可のための申請資料や照会回答にあたっての戦略や文書の書きぶりについても大変細やかに見ていただきました。



Splink様がこれから目指される目標、計画について教えてください。

青山:つい先日、アルツハイマー病(AD)治療薬であるアデュカヌマブ(*1)の承認がFDAから発表されました。根治薬がないと言われてきた認知症が「治らない病気」から「治る病気」として、認知症領域の革新的なパラダイムシフトが起きると言われています。そして、早期発見や正確な診断の重要性も同時に増していくことが予想されます。

私たちSplinkは、職人技の側面が強い認知症分野の医療サービスにおいて『脳画像解析プログラムBraineer』が医師の方々の適切な認知症診断インフラの一助となることを目指します。今まで病気が見逃されていたケース、または早期発見がなされていなかったケースがなくなり、人々の脳の健康状態がより身近に把握され、100歳まで自分らしく人と人が繋がれるような医療エコシステムの構築に貢献していきたいと考えています。

今後は、アカデミアや大学病院との共同研究や開発提携を加速させ、サイエンス・製品の両側面のブラッシュアップを進め、患者様の役に立つ医療サービスとして提供を広げていきます。認知症診断はこれからますます発展していく領域なので、Splinkの強みである医療AI開発チームの企画推進力とR&Dチームの開発力で、ブレインヘルスケアを世界の当たり前にしていきます。

*1:アデュカヌマブは、認知症の原因疾患の一つであるアルツハイマー病(AD)の病理に作用する初めてかつ唯一の治療薬として、2021年6月7日(米国現地時間)に、米国食品医薬品局(FDA)から迅速承認を取得しました。

最後に、他の医療機器ベンチャーに対するエールをお願いします。

青山・成尾:患者さんのことを一番に考え、その患者さんを助ける医師に医療機器を提供しています。 医療機器の開発の途中では辛いことや難しいこともあるとは思いますが、医療機器プログラムという新しい産業が作る新しい可能性、患者さんへの貢献の可能性を信じて、この産業を盛り上げていきたいと思います。一緒に頑張りましょう!


左:代表取締役 青山様 / 右:SVP 成尾様
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