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厚生労働省

2023.12.01MEDISO:インタビュー

認定VCインタビュー Saisei Ventures LLC・Jonathan Yeh様 齊藤 光様

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 国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の「認定VC(ベンチャーキャピタル)」シリーズ、今回はSaisei Ventures LLC(以下、Saisei)のマネージングパートナーのJonathan Yeh様(Web参加)、パートナーの齊藤光様にSaiseiでの取組と日本のライフサイエンスベンチャー業界について語って頂きました。

 社名
 Company
 Saisei Ventures LLC
 所在地
 Location
 米国オフィス:One Broadway, 14th Floor, Kendall Square, Cambridge, MA 02142, USA
 東京オフィス:東京都品川東五反田5丁目22-33 TK池田山ビル 2階
 設立
 Inception
 2020年6月9日
 ファンド実績
 Dedicated
 fund
 ■Saisei Bioventures, L.P.
  ・募集開始日:2021年1月29日
  ・最終クローズ:2023年1月25日

まずは皆様のご略歴を教えてください

(齊藤光氏)

(齊藤氏)学生時代は東京工業大学でバイオエンジニアリングを専攻していました。同校ではModalis Therapeuticsの創業にも携わられた濡木理先生(現:東京大学大学院理学系研究科)という研究・発明の社会実装に感度が高い先生に師事した影響もあり、発明や発見を社会実装することに興味がありました。博士課程修了後はアカデミアで研究を追究するよりも製薬会社で新薬を作っていきたいと考え、ご縁があってアステラス製薬に入社しました。当初は研究員として製剤処方設計や製造法の開発業務などに携わりましたが、より事業化のフェーズで活動するために研究提携などアカデミアやバイオベンチャーとの関わりが強いイノベーションマネジメント部(研究パートナリングを担当する事業開発部)に移りました。2017年に米国カルフォルニア州サンフランシスコエリアを拠点とするコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)部門に加わり、現地で5年ほどベンチャーやベンチャーキャピタル(VC)と関わりながら投資活動をしていました。米国に移った頃にカナダの再生医療等産業化支援機関CCRMで投資ディレクター(当時)のJonathan Yeh(現Saisei Ventures LLC代表)と出会いました。Jonathanとは投資分野や年齢が近いこともあって定期的にコンタクトがありました。しばらくして、現在Saiseiのアドバイザーを務めていただいている鍵本忠尚氏と共にVCを立ち上げるということで誘いを受けました。ライフサイエンス専門の米国VCのゼネラルパートナーである友人から日本の科学技術がトップレベルであるにも関わらず、世界に通用するバイオテックベンチャーの数の少なさを指摘されていました。私は米国における経験や人脈を活かして、日本のイノベーションからスタートアップを創り、社会実装に貢献したいと考えていました。日本の技術と世界の専門性を融合して世界的なバイオテクノロジー企業を創るというSaiseiの目指すミッションに共感し2023年1月からSaiseiに参画しました。

(Jonathan氏) 私の経歴は科学者としてスタートし、成体幹細胞の研究、ヒト造血幹細胞の低分子制御因子の探索、白血病幹細胞の自己再生の研究で博士課程を修了しました。私はカナダ保健研究所(CIHR)のポスドクフェローとして研究を支援され、多くの基礎的発見につながりました。私は研究室から離れることを決意し、私の発見と創出した知的財産に基づくExCellTheraというバイオテクノロジー企業の立ち上げに関わりました。この間、私はビジネススクールにも入学し、市場分析とファイナンスのネットワークと知識基盤を強化するため、夜間のパートタイムで3年間MBAを取得しました。 個人的には、アーリーステージのバイオテクノロジーを通して基礎的発見を前進させるという楽観主義と青空のような無限の可能性にいつも突き動かされてきました。私は細胞・遺伝子治療に特化したアクセラレーターCCRMに採用され、そのアーリーステージ・ベンチャー投資ファンドを率いて投資先企業のポートフォリオを管理することになりました。CCRMで数年勤務した後、バイオテクノロジー企業の株式会社ヘリオスに入社し、サイセイ・ベンチャーズの立ち上げに至りました。

Saiseiの特徴や強みを教えてください

齊藤氏)全員がMDやPh.D.を持っていて、サイエンスファーストのアプローチをとっていることは他社に対する差別化ポイントだと思います。また、ダイバーシティに富んだチームでもあります。私は日本人で、Jonathanはカナダ人ですし、他にも米国人、イギリス人やデンマーク人など各国の人材がいます。いずれもサイエンスファーストであることに加え、細胞や遺伝子分野での投資経験がありますし、製薬企業やベンチャー企業の経営経験を持つスタッフがいる点も特徴です。

Jonathan氏)サイエンスやテクノロジーの面で日本はパイオニアと言えますが、それらをインダストリーが要求するレベルのプロダクトに仕上げるにはまだギャップがあります。要因として経営者や資金力の不足、専門家のフィードバックが少ないことなどが関係していますが、それらをクリアするためには、例えば細胞遺伝子治療の分野であれば細胞分化プロトコル、製造技術やレギュラトリーサイエンスの知識も必要になります。様々なナレッジを駆使してギャップを埋めていかなくてはなりません。その中でSaiseiは日本から技術をソーシングすると同時に、多様性を活かして必要な技術を世界中から集められます。こうしたアプローチは私たちの強みです。

齊藤氏)投資のスタイルについて、カンパニークリエーション、つまり起業前からの支援を主として活動していますが、既存の会社にも投資をしています。いずれにせよ我々が投資をする場合には、その会社が世界展開していくためのビジネスプランはどういうものか、技術の価値を最大化するためにどのようなプログラムを用意すべきか等を提案し、会社の経営陣と議論しますし、大きな変革をお願いすることもあります。

昨今の日本のベンチャーエコシステムに生じている変化をどのように見ていますか

齊藤氏)私が製薬企業に就職した2010年頃と現在とでは製薬会社のオープンイノベーションに関する動き、スタンスは大きく変わりました。この5年ほどで大企業やベンチャー、アカデミアそれぞれが協働しないと明日はないという考えが浸透してきているように感じます。製薬会社は自社研究に固執せずに、世界のトップ研究者と研究するために世界のどこにでも行くようになりました。アカデミア研究と製薬産業を繋ぐ役割としてスタートアップの重要度が増してきています。それに伴って製薬会社の人材がベンチャーやVCに転職するケースも増えて流動性も上がってきています。日本の創薬ベンチャーエコシステムの成熟度が上昇し、欧米にキャッチアップしてきているように感じます。

Jonathan氏)以前は低分子薬や抗体医薬といったものが中心でしたが、今では先進治療法や細胞・遺伝子治療、タンパク質分解薬などのアプローチが登場しているように、モダリティが多様化してきています。また、iPS細胞が世界で初めて作製されたことを筆頭に、日本は細胞治療研究で世界のパイオニアと見られています。今後は日本の技術やシーズをどのようにして製薬産業が要求するレベルに押し上げていくかが重要ですし、その点は海外からも大いに注目されていると思います。

逆に、日本のベンチャーエコシステムのボトルネックとなっているのはどのようなことだとお考えでしょうか

齊藤一番はフィードバック文化が不足していることだと思っています。アメリカではベンチャーの人々は自分たちが解決したい問題、その問題が如何に大きく、マーケットがあるのか、その解決策は何なのか、どのように世界が変わるのか、ストーリーを話しますし、それに対して起業家や投資家や製薬企業がそれぞれの見方でフィードバックをしてくれるので、それを基にビジネスアイデアが磨かれていきます。一方日本では、アイデアを持っていても他者に話さない、ストーリーにしない、フィードバックをもらおうにも専門家が近くにいない、欧米の専門家とのネットワークがないケースもあります。米国の主要エコシステムでは数多くのカジュアルな交流からフィードバックを受けることができる環境なのです。文化的な問題もありますが、もっと気軽にフィードバックがなされるように変えていきたいと思っています。

Jonathan氏)アメリカでは創薬ベンチャーにおける連続起業家が豊富にいますが、日本にはまだまだ数が少なく、参考となるようなポジティブサイクルが生まれていないことが挙げられます。その中で、Saiseiのアドバイザーの鍵本氏は重要なロールモデルの一人となるでしょうし、当社のチームには細胞・遺伝子治療における連続起業家が在籍していますので、彼らの知見や経験を通じてこのボトルネックを解決していきたいですね。

日本の医療系ベンチャー業界活性化のために施策を提案するとしたらどのような案が考えられますか

Jonathan氏私たちも日本で色々なファンドマネージャーの方とお話をしますが、サイエンスをバックグラウンドとして持っている、製薬企業で経験を積んでいるファンドマネージャーは非常に少ないです。この創薬・ライフサイエンス領域ではファンドマネージャーにもサイエンスや創薬の専門性が求められるので、そうしたスキルやノウハウを持った人々を育てていかないとエコシステムは育ちません。そこで、外国から優秀なファンドマネージャーを招き、日本のファンドマネージャーを育成してもらう政策があると面白いと思います。そのようにして創薬の分野で活躍できるファンドマネージャーが増えていくと、業界としてのキャリアパスも増え、裾野を広げることにもつながっていくでしょう。

齊藤氏やはり人材の流動性を上げる必要がありますが、製薬会社からベンチャーに移る人々もインセンティブを享受できるようにしないといけません。私の場合、前職のアステラス製薬は私のキャリアチェンジを温かく歓迎していただきました。同社は日本だけでなく世界における人材の流動性を活発化し、結果的に同社の創薬ネットワークを世界的に広げることにつなげていると思います。世界中のエコシステムを活用してイノベーションにアクセスしている点で日本のリーディングカンパニーと言えるでしょうし、そうした考えを持つ企業が増えることも日本のエコシステムの底上げという意味で重要でしょう。もちろん、製薬会社がインセンティブを得られなければこのような考えの企業は増えませんので、その点で国の政策には期待したいと思っています。

(取材者:三菱総合研究所 森卓也・太宰結)

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