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厚生労働省

2023.11.17MEDISO:インタビュー

認定VCインタビュー D3LLC・永田智也様 綿谷健治様

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 国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の「認定VC(ベンチャーキャピタル)」シリーズ、今回はD3LLCのパートナーである永田智也様、同じくパートナーの綿谷健治様にD3LLCでの取組と日本のバイオ・ヘルスケアベンチャー業界について語って頂きました。

 社名
 D3 LLC
 所在地
 東京都渋谷区恵比寿4-20-3恵比寿ガーデンプレイスタワー18F
 設立
 2017年2月
 ファンド実績
 ■D3バイオヘルスケアファンド1号投資事業有限責任社員
 設立日:2019年9月
 ファンド総額:30億円
 存続期間:2033年9月

永田様、綿谷様のご略歴を教えてください

(左より綿谷氏・永田氏)

(永田氏)大学院では薬学を学び研究者を目指していましたが、一歩引いた目線で問題解決したいと考え外資系コンサルティング会社に就職しました。コンサルティング会社で成長戦略・新規事業戦略の構築、大企業によるベンチャーの提携買収の支援などに取り組んでいるなかで、「大企業が提携したいと考えるレベルのライフサイエンスベンチャーが欧米と比較して日本には少ない。その原因の一つに、欧米と日本のVCの違がもある。」と考えるようになりました。そこで、アメリカのVCに転職し、考え方や手法を学び、その手法で日本のライフサイエンスベンチャーを支援するためにD3LLCを2017年に設立しました。当初、D3LLCではベンチャーや大企業に対するコンサルティングを通じてシード・アーリーからEXITまでの成長を支援していましたが、VCとしての役割も求められるようになり、コンサルティングだけでなく投資も行う現在のD3LLCとなりました。

綿谷氏)私は分子生物学、細胞生物学の分野で博士号を取得した後、外資系コンサルティング会社に入社し、ヘルスケア業界やコンシューマー業界の支援をしていました。日本のアカデミアを取り巻く環境や教育に対する課題意識から、コンサルタントとしてのキャリアの途中で、京都大学にて研究マネージメントを担う機会もいただきました。次第に学生時代から興味・関心のあるバイオ・テクノロジー・教育の分野により貢献したいという思いが強くなり、2019年からD3LLCに加わりました。

D3LLCの特徴を教えてください

(永田氏)D3LLCは、日本のバイオ・ヘルスケアベンチャーを中心に、医療健康に貢献する企業を主な投資対象としています。選定の際には、ベンチャーが解決を目指している課題に主眼を置いています。  また、バイオ・ヘルスケア投資において成功している欧米VCの「型」を輸入して実践しています。例えば、「分野に特化した目利き力に基づき、ベンチャーを見極めること」や「少数のベンチャーを対象として手厚い支援を行うこと」などが挙げられます。

綿谷氏)加えて、資金調達だけを目的とするベンチャーには積極的な投資は行っていません。私たちは「良いテクノロジーを持っていても経営面で手間取っているベンチャーを世の中に送り出すお手伝いをする」というミッションを掲げています。もちろんリターンも大切ですが、D3LLCが関わることでそのベンチャーが持つ魅力をどれだけ引き出せるかという視点も重視しています。

D3LLCから見た日本のバイオ・ヘルスケアベンチャーやVCの印象を教えてください

永田氏この5年ほどの間に人材のレベルは一気に上がっていると感じています。製薬企業やプロフェッショナルファーム出身者、ベンチャーで実績を残した方のベンチャーへの転職が増えてきています。その理由は幾つかありますが、「ベンチャーで働く人々の満足度が上がっている」と見られるようになってきた点は大きいです。

綿谷氏)ベンチャーだけでなくVCにも製薬企業出身者が増えており、バイオ・ヘルスケアに投資を行うVCが増えています。そのためベンチャーがVCを選べるようになってきたという変化も非常にポジティブに捉えています。 加えて、以前は「お金儲けしたい」から起業という風潮が少なからずありましたが、今は「自分たちの技術を社会に実装したい」「自分たちの研究を社会に還元したい」から起業するという人が増えているとも感じています。

永田氏しかし、日本と欧米を比較すると、ベンチャーとVCの量と質は絶対値として足りていないこともまた事実です。

綿谷氏)さらに、医師を代表とする医療現場のニーズを熟知しているメンバーのベンチャーへの参画、言い換えると「チームの組成力」という点では、日本と欧米を比較するとまだまだギャップがあります。日本では「医師にとって本当に便利なのか」「医師に負担を掛けないか」といった視点が抜け落ちているベンチャーも少なくありません。

日本のバイオ・ヘルスケアベンチャー業界活性化のために施策を提案するとしたらどのようなものが考えられますか

永田氏日本と欧米を比較して「日本のバイオ・ヘルスケアは業界も支援施策も完敗している」と指摘する人は多いですが、私はネガティブには捉えていません。例えば、5年ほどの短期間でバイオ・ヘルスケア業界を大きく成長させた中国・韓国の支援施策は日本のそれと方向性は同じです。ただ、勢いが足りていません。支援を加速させることで、彼らと同程度の成長が可能と期待しています。 VC業界への支援施策という観点から加えますと、特殊性・専門性を持った新興VCに対する支援施策があると面白いと考えます。バイオ・ヘルスケアベンチャーは多大な資金を要するため、どうしてもVCの意向が強くなる傾向にあります。VCから「何年で東証上場を目指せ」と言われたら、他の選択肢が難しくなります。そのためVCの多様性が重要です。多様なの成功仮説や投資戦略・育成手法を持つVCが生まれてくれば、ベンチャーも自らの考えや目標に合うVCと活動が可能となり、より成長しやすくなるはずです。



綿谷多様性のためにあえて異なる視点で提案してみたいと思います。大昔に作られた規制を現在の状況にあわせて緩和する方が、コストパフォーマンス良くインパクトを与えられると想像します。インパクトの大きさから、特に企業買収と雇用に関する規制緩和が有力です。大企業によるベンチャーのM&Aに税制優遇があれば、M&Aの件数も増加し、大企業・ベンチャー・VCにとってwin-win-winとなります。また、課題も大きいですが、雇用保護の規制を緩和することで、ベンチャー業界への転職が活発になり、またベンチャーで失敗しても再チャレンジが容易となり、人材流動性が高まります。

(取材者:三菱総合研究所 森卓也・末松佑麿)

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