2020.07.22MEDISO:インタビュー
MEDISOサポーターインタビュー記事 山寺純様
こんにちは、MEDISO事務局です。今回は、普段面談を実施していいただいている非常勤サポーターにお話しを伺いました。本日は、株式会社Eyes, JAPAN 代表取締役/チーフ・カオス・オフィサー 山寺 純様です。
MEDISOでは、Microsoft Teams等を活用して、Web会議で相談対応をしております。
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山寺さんのキャリアを教えてください。
会津若松に生まれ、高校卒業と同時に上京し24歳までフリーター等をしていました。帰郷のタイミングで会津に日本で初めてのコンピューターサイエンスの単科大学である会津大学が設立され、通訳翻訳員として働き始めました。通訳翻訳員をしながらコンピューターサイエンスを知り、ヤフー等の勃興にも触発され、1995年に会津大学の学生と共にITの最先端技術を研究するベンチャー企業を立ち上げました。90年代はweb・コンピューターグラフィックス開発、00年代はモーションキャプチャー・医療系VR/ARの開発、10年代からは医療系のシステム開発、AI導入、サイバーセキュリティ対策等を扱い、時代の最先端技術を活かして、お客さんの課題解決をサポートしています。
医療分野ではda Vinci等のロボットやMRI等の高度な検査機器が開発されているものの、病院間、病院内での情報共有等へのITの導入は十分ではありません。ITの導入は業界ごとに進展が異なり、最も早く導入された金融分野等の歩んだ道を、医療分野が遅れて歩き始めた状況です。株式会社Eyes, JAPANが2013年から主催する医療セキュリティハッカソンでは、他の分野のノウハウを医療分野に活かすために、医療分野に関係のないエンジニア等にも多く参加いただいています。
ご自身の得意とする支援はなんでしょうか。
MEDISOでは、自らの起業経験に基づくベンチャー企業に寄り添った、医療分野にITを導入する際のセキュリティのサポート、医療機器にAIを用いる場合のノウハウ等の支援を得意としています。
医療機器は「停電の場合はどうするか」「動作不良がある場合はどうするか」というセーフティは厳密に検討されていますが、攻撃に対する守りというセキュリティはあまり検討されていません。医療分野にITを導入する際に「自分の病院を攻撃しても意味がないから大丈夫」「ネットワークに繋がっていないから問題ない」という主張を良く聞きますが、そのような考え方が、医師が持ち込んだPCからのウィルス感染や、悪意あるデータの持ち出し等が生じてしまう可能性を高めます。医療情報はクレジット情報等と異なり、流出したら取り返しのつかない情報も含まれるため、情報漏洩は経営リスクとしては極めて高いと言えます。
また、医療系に限らずAIを用いたソリューションを開発するベンチャー企業は多いですが、実はAIとは言えないソリューションも多く存在しています。AI、クラウドと言えば資金が集まる、むしろAI、クラウドを活用していないと資金調達しにくいという風潮さえあり、実力以上に資金が集まってしまい、事業を失敗させる例もありました。VC、CVCに説明する際には、事業の目標と使用するテクノロジーは分けて考え、上手に説明する必要があります。
セキュリティとAIは現代では避けることができないテーマになりました。株式会社Eyes, JAPANは会津大学のコンピューターサイエンスを出自とするベンチャー企業であり、好奇心を持ち、常に勉強しながら、ベンチャー企業のサポートを行っています。
実際にMEDISOサポーターとして活動してみて、いかがでしょう。
MEDISOはどの開発ステージからでも気軽に相談できる点が良いです。上手にMEDISOを活用するには、なるべく早期に、ソリューションを作り始める前に、相談に来るべきだと考えます。壁打ちの要領で相談に来ていただけると、手戻りも無く、効率的な開発が可能です。例えば、医療分野で使用できるクラウドサービスはほぼ一択ですが、そのようなノウハウを気軽に無料で教えてくれる相談先はMEDISO以外であまりありません。
医療分野では3年で上市を目指すのは困難ですが、そのような医療分野特有の事情を理解した専門家から的確なアドバイスがもらえます。私が、医療系ベンチャーを起業する際には、是非活用したいと考えています。
話題は変わりますが、ご趣味は何でしょうか。
多くの趣味を持っています。読書、音楽鑑賞、水泳の他に、会津の地理的特性を活かしたスノーボード、カヌー、そしてエクストリームアイロンもしています。エクストリームアイロンとは、つまらないアイロンがけを屋外で楽しくしようというコンセプトのイギリス発祥のスポーツであり、小規模ながらも国際競技にもなっています。山や滝などの福島の美しい自然の中でアイロンをかける様をSNS等で発信することで、「なんか面白そう」「自然がきれい」と思ってもらえるように、福島復興の願いも込めてアイロンをかけています。
最後に、医療系ベンチャーの方へのメッセージをお願いします。
設立当初のベンチャー企業では、優秀な人材の採用が難しい等の辛いことや失敗を多く経験しますが、そのような悩みを経営者がメンバーに気軽に相談することはできないでしょう。ストレスで心身をすり減らす前に、相談ができる同じような境遇の経営者やメンターを、自ら見つけると良いでしょう。心を強く持って頑張ってほしいです。
また、アフターコロナを考えますと、オフィスやオールドノーマルな既存事業を持っていることはリスクになるため、何も持たないベンチャー企業には、現在の状況を前向きに捉え、ニューノーマルを前提としたビジネスを考え出して欲しいと思います。