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厚生労働省

NEWSMEDISOインタビュー記事 株式会社セルージョン様

2022.02.04

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MEDISO相談企業である株式会社セルージョン様の探索的臨床研究の実施計画が厚生労働省の厚生科学審議会より承認を得られ、臨床研究が始まります。
そこで今回は株式会社セルージョン 代表取締役 羽藤 晋様に開発の経緯等のお話を伺いました。
詳細はこちらをご覧ください。
株式会社セルージョン様ホームページ : https://cellusion.jp/


最初に、セルージョン様はどのような会社か教えてください。

セルージョンは慶應義塾大学医学部眼科学教室初の大学発ベンチャーとして2015年に設立しました。私が眼科医として研究していたiPS細胞を用いた再生医療を、患者さまに届けるために開発を進めています。


セルージョン様の再生医療での取り組み、臨床研究を予定している製品について教えていただけますか。

セルージョンは水疱性角膜症という疾患を対象とする製品の開発を進めています。水疱性角膜症は角膜移植が主な治療方法になりますが、角膜移植を行うには大きく3つの条件があり、それらがボトルネックとなっています。
1つ目は、ドナーの角膜が必要ということ。2つ目は、角膜移植は容易ではなく、経験豊富な熟練医師による手術が必要ということ。3つ目は、ドナーからいただいた角膜を患者さんに安全に届けるために、アイバンクというインフラが必要ということ。これら3つの条件が整っている国や地域は、全世界的にも非常に限られているため、角膜移植の待機患者さんは全世界で1000万人以上もいらっしゃいます。
セルージョンが開発している技術、製品により角膜移植の3つのボトルネックを解消することができます。
1つ目として、iPS細胞から角膜内皮細胞と同等の機能を持つ角膜内皮代替細胞を大量生産することが可能です。2つ目に、角膜内皮代替細胞を用いた治療方法は細胞注入療法と呼ばれ、角膜内皮代替細胞の懸濁液を注射で眼球内に注入して移植するという方法で、角膜移植と比較すると簡単かつ短時間で可能な手術であり、侵襲度も低く患者さんの負担も軽く済みます。そのため、経験豊富な医師ではなく一般的な眼科医でも実施することが可能です。3つ目に、開発している製品は他家のiPS細胞を用いた製品のため、アイバンクがなくとも普通の医薬品と同じように患者さんに届けることが可能です。

2022年にFirst in Humanの臨床研究を慶應義塾大学病院で予定しています。大学病院の特定認定再生医療等委員会と厚生労働省の厚生科学審議会から承認をいただき、臨床研究が始まるのを待つばかりの状況です。
2021年12月に企業治験準備を主な目的とする総額11億円の資金調達にも成功しましたので、 2023年度内にフェーズⅠ/Ⅱの企業治験を開始し、再生医療等新法の 制度をうまく活用できれば2026年ごろに日本で上市できると見込んでいます。
並行して海外での開発準備も進めており、セルージョンの再生医療で全世界の患者さんを治療したいと考えています。


羽藤様は医師でもいらっしゃいます。起業のきっかけ、医師が起業するメリット等を教えてください。

眼科医としての臨床と並行して、大学院では角膜移植を受ける患者数が最も多い水疱性角膜症という疾患を角膜移植に頼らないiPS細胞を用いた再生医療で治療できないか?というテーマで研究を行っていました。
先にも述べた角膜移植という治療方法のボトルネックである、角膜の供給不足という課題や私のような角膜移植医が少なく、またたとえ角膜移植医が頑張ってもリタイアまでに数千件程度しか患者さんを助けることができないという課題に強い問題意識を持ち、解決のためには大量生産が可能な再生医療というアプローチが必要と考えセルージョンを起業しました。
起業した当初は、眼科の診療もしながら事業を進めていましたので極めて多忙でしたが、事業の早い段階でリードVCが見つかり、ご指導いただき、少しずつ会社を作り上げることができました。その後もMEDISOのご支援等も受けることができ、協力していただける周りの方々に恵まれていました。

医師が起業するメリットとしては、患者さんのカスタマーペインと医師側のカスタマーペインの2面を把握しやすく、ニーズをつかみやすいというメリットがあったと思います。医師のキャリアとしては、今まで医師免許を取り研修医、専修医、そして専門医となり、その後は大学病院に残るか、基幹病院に移るか、開業医となるか、あるいは厚生労働省に行く等の流れが主流だと思います。しかし、患者さんのニーズのためにも、新しい産業創成という観点でも、医師が自らの能力を活かして起業するというキャリアも良いと感じています。



セルージョン様は何度もMEDISOを活用されています。MEDISOに対しては、どのような印象をもたれていますでしょうか。

MEDISOには様々な分野でご支援をいただきました。我々がコネクションを持ってない様々な分野の専門家をご紹介いただき、事業化に関する専門知識を学ぶことができました。
事業が進んでくると課題が見えてきますが、社内メンバーだけでその全てに対応できるわけではありません。例えば、臨床研究に進むために欠けているデータは何で、どのような試験が必要なのか等のアドバイスや、事業を進めるためにどのような人材が必要になってくるのかというアドバイスをいただきました。
また、市場調査や製薬企業へのヒアリングなどのサポートもいただきました(現ニーズ出口調査)。資金調達のためにVCへアプローチすると、市場はどれだけあるのか、市場調査のデータに客観性はあるのか、製薬企業は製品をどのように捉えているか、といった質問をいただくことが多く、MEDISOの支援が非常に役立ちました。市場調査には多額の費用が必要のため、起業したばかりのベンチャー企業としては大変ありがたかったです。



最後に、セルージョン様がこれから目指される目標、計画について教えてください。

セルージョンの専門領域である角膜に関する再生医療の開発を進めながら、iPS細胞の技術を活かし角膜以外の疾患に対する治療方法も開発し、世界中のより多くの患者さんを助けたいと考えています。



医療系ベンチャーに対してエールをお願いします。

医学は長い歴史で発展してきたとはいえ、治療方法がない疾患は未だ多く、困っている患者さんはたくさんいらっしゃいます。そのような全世界のアンメットメディカルニーズに対し、我々のような再生医療、医薬品や医療機器、あるいはITを活用したヘルスケア製品等の様々なアプローチで、新しいメリットを届けるベンチャー企業がたくさん生まれると、みんなが幸せになれて良いと思っています。


             代表取締役 羽藤 晋様
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